この記事は「広報あやがわ」に掲載されている「健康コラム」向けに、当院の医師が執筆したものを再構成したものです。
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暑い季節になってきました。畑作業等が増えてくる季節には虫刺されにご注意ください。今回はマダニをテーマにお話をしたいと思います。
マダニに嚙まれたら
マダニは日本の山に広く生息しており、4~10 月の温かい季節に活動が確認されます。人間を含む動物の血液を好み、様々な感染症を媒介します。吸血前は微小で肉眼では確認しがたいですが、吸血後は1cm前後まで肥大するため体に吸い付いて吸血している最中の状態で発見されることが多いです。
気付いて除去しようとしてもくちばしを皮膚に強く刺してしがみついており、自身で引っ張って除去することは困難です。また、流水程度でも除去は困難になります。
力づくで除去を試みた場合にはくちばしや頭部のみが皮膚に残ってしまい、炎症や感染症の原因になるため、除去する際には病院を受診した上で医師の確認のもと除去を行うのが最善と言えます。
また、マダニが媒介するウイルスは皮疹や頭痛、発熱、嘔吐、下痢等多岐に渡り、潜伏期間も1週間~2週間ほどと報告されています。中には入院を要するような重症な病態も報告されているため、病院で適切な除去が得られた場合も1か月ほどは体調に変化がないか注意深く観察した上で異変を感じた際には医療機関への相談が必要と言えます。
マダニに噛まれないためには
マダニに噛まれないようにするための対策としては、農作業中の肌の露出を極力控えることにあります。具体的には長靴・帽子・首にタオル・長袖・長ズボンなどが考えられます。また、犬や猫といったペットとの接触の際にも極力肌の露出を控えたほうが無難といえるでしょう。その他の対策としては虫よけスプレーの使用も選択肢にあがります。また、マダニに噛まれたこと自体に気付きにくいため入浴の際に確認を行ったり背中などの見えづらい場所に違和感を覚えた際には家族に確認してもらうのも良いでしょう。マダニは噛んだ後に褐色円形の特徴的な刺し口を残すことがあります(ただし、刺し口を残す例は全体の3割ほど)。そういった予防策やセルフチェックを行い、虫害による被害を回避しながら快適な夏をお過ごしください。

大西 悠幹
- 内科医師