この記事は「広報あやがわ」に掲載されている「健康コラム」向けに、当院の医師が執筆したものを再構成したものです。
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便秘や下痢はよくある症状であるため、腹痛などの自覚症状を伴わない軽度のものである場合などは、おのおので対応していることもありますが、便秘や下痢の程度が強くなったり、また腹痛が強い場合などは病院を受診することも少なくありません。
「便秘」「下痢」の具体的な症状は?
便秘や下痢は過敏性腸症候群など機能性消化管障害の分類体系であるRome IVにおける定義では次のように分類されます。
便秘の定義
便秘は以下のうちの2つ以上の症状があることが定義とされています。
- いきみ
- 硬便
- 残便感
- 直腸肛門の閉塞感
- 排便促進対応行動(摘便や骨盤底圧迫など用手的な排便促進の対応)
- 週に3回未満の排便
下痢の定義
下痢は『軟便もしくは水様便』と定義されます。
特に注意をしておきたい便秘や下痢のタイプ
便秘は急性に発症するものと慢性に経過するもの、器質性と機能性に分けられます。急性発症の便秘には腸閉塞があり、慢性経過の便秘には生活習慣、食事習慣、運動習慣などによる習慣性の便秘や、甲状腺機能低下症、糖尿病性神経障害による代謝内分泌性の便秘、抗コリン薬やCa拮抗薬や麻薬などによる薬剤性の便秘、大腸腫瘍による腸管不完全閉塞による便秘などがあります。急性の下痢は感染性、薬剤性、植物性、精神心理性があり、慢性の下痢には大腸に由来するもの小腸に由来するもの、膵臓に由来するもの、内分泌に由来するものなどがあります。
その中で緊急に対応するものは、急性発症し増悪するもので、腸閉塞などがあります。また緊急を要しない場合でも血便や貧血や体重減少や発熱などがある場合は注意が必要です。その場合は画像検査や血液検査を行い、悪性腫瘍の検索などを行います。

柴田 幸昌
内科
- 内科医師