この記事は「広報あやがわ」に掲載されている「健康コラム」向けに、当院の医師が執筆したものを再構成したものです。
「広報あやがわ」は綾川町WEBサイトからダウンロードできます。
→ 綾川町 > 広報あやがわ
「最近、トイレが近くなった気がする…」「夜中に何度も目が覚めてしまう」そんな悩みを抱えている方は少なくありません。加齢に伴い、膀胱の容量が減ったり、尿をためる筋力が弱くなったりすることで、頻尿が起こりやすくなります。しかし、日常生活の中で意識すれば改善できるケースも多くあります。
水分摂取について
まず見直したいのが水分の摂り方です。頻尿が気になると水分を控えがちになりますが、これは逆効果。脱水になれば尿が濃くなり、膀胱を刺激してかえって頻尿になることも。目安としては、日中にコップ6〜8杯程度の水分を分けて摂り、夕方以降は控えめにすると良いでしょう。カフェインやアルコールの摂取。これらは利尿作用があり、膀胱を刺激 するため、摂りすぎると頻尿の原因になります。コーヒーやお茶(緑茶や烏龍茶)、ビールなどの摂取はほどほどにし、特に夕方以降は控えるようにしましょう。麦茶にはカフェインが入っていないので水分補給にはうってつけです。
頻尿対策の運動
また、骨盤底筋を鍛えることも効果的です。骨盤底筋は膀胱や尿道を支える重要な筋肉で、加齢や出産、肥満などで弱くなります。肛門や膣をギュッと締めるように力を入れ、10秒間キープしてゆっくり緩める。この「骨 盤底筋体操」を一日可能な範囲でできるだけ行うことによって、徐々に尿意をコントロールしやすくなります。さらに、規則正しい生活や適度な運動も大切です。睡眠不足やストレスは自律神経に影響を及ぼし、膀胱の働きを乱す原因になります。ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を継続することで、心身のバランスが整い、頻尿の改善にもつながります。ただし、急に頻尿がひどくなった場合や、排尿時に痛みがある、血尿が出るといった症状がある場合は、膀胱炎や前立腺疾患、糖尿病などが隠れていることも。自己判断せず、早めに医療機関を受診することが重要です。頻尿は恥ずかしいことではなく、体からのサインのひとつ。正しい知識と対策で、快適な日常を取り戻しましょう。
陶病院 石田 一輝

石田 一輝
- 内科医師